クリミア合併、ドンバス戦争で名を挙げた(悪名?)元ロシア軍人、FSB職員Igor Girkinの今後のウクライナ侵攻の予想


Igor Girkinに関しては、「ストレルコフ」という別名で2014年のクリミア合併の時に関わった人物としてその当時読んだ記憶がある程度だった。今回、いろいろな記事を見ると全文本当かどうかわからないが、相当一癖二癖ある人物のようだ。ロシア軍の諜報部出身で後にFSB職員として活動し、クリミア合併で「リトル・グリーン・メン」と呼ばれる、匿名の特殊部隊を率いて暗躍した後、ドンバスの親露派武力精力の総指揮官にいつの間にか、成り上がった人物の様だ。

jp.reuters.com

一部の国家の司法からは、戦犯として指名手配され、ドンバス地方における地元市長の誘拐と殺害に関わったとして告発されていたり、住民虐殺の疑いもかけられている。オランダ当局は、彼の率いた部隊がマレーシア航空17便撃墜事件に関わっていると見て、国際手配をしている。

www.voanews.com

一方で、ドンバス戦争でウクライナ軍に手痛い敗北を喫して、重傷を負った経験からウクライナ軍を評価していて、特にこの8年間での成長を高く評価している。

4月20日に彼はTelegramというロシアのソーシアルメディアに、始まったばかりのウクライナ侵攻の第2段階に対するロシア軍の評価と予想を述べたが、それが極めてロシア軍に対して悲観的だったのでイギリスのThe Timesをはじめとしてドイツのメディアなどでいろいろと取り上げられた。

www.thetimes.co.uk

このTeregramの投稿をイギリスに住んでいるエストニア人が英訳したのでそれをもとに日本語訳を行なった。

以下がその和訳。強調はオリジナルにしたがった。小見出しは、読みやすさのため自分がつけた。

続きを読む

新たなロシア連邦庁(FSB)内通者からと言われる、メール(真偽と、内容をどの位信じられるのかは留保付き)

昨日に新たに投稿されたと思われる、フランスに亡命中のロシアの人権・反体制活動家Vlademir Osechkin氏が管理するサイト、Gulagu-netに新たに届いたロシアの連邦保安庁FSB)の内通者のメールを翻訳して紹介する。

真偽を明らかにできない、素人の自分が翻訳するのもどうかと思ったのと、内容がかなり憂鬱なのでこれもちょっと躊躇したが、あまりにロシア語(ついでにウクライナ語や他の東欧語!)を自動翻訳設定でドイツ語に翻訳したときの、快適な読書体験があるので、自分の勉強のためにわずか2時間で翻訳した。

それと、最近の情報と対応して見ると、全く無視できない内容もある。メールの合間に自分のコメントや感想を斜字でしめした。

リンクは以下: 

https://gulagu-net.ru/news/2022-04-18-1272.html

2022年4月18日の(FSB内通者からの)メール。

 

レター 18.04.2022

日付:2022年4月18日(月) 2_:__ にて

テーマ:情報

宛先。Gulag-no オフィシャルチャンネル <gulagunett@gmail.com>

ウラジミール、こんにちは。

最初に断っておくが、私は100%正確な予測をすることを約束するつもりはない。というのも、状況が目まぐるしく変化し、ついていくのが難しいからだ。さらに、計画と実行の間にギャップがあることも多い。このことは、住宅用建物の直接的な爆破が(まだ)行われておらず、「ウクライナ」のヘリコプター/DRGによる一部の荒れ地と非住宅用建物への砲撃に限られていることを説明している。

メールの内容をテーマごとに分けてみる(というか、メールの中にいくつものテーマをとにかく列挙してみる)

この住宅用建物の爆破が行われていないというのは、以前のメールで実はロシア国内でロシアの軍事侵攻のシンボルであるZとかVなどの文字に対する抗議・揶揄する落書きが増えていることへの言及だ。それへの対応として、そのような住民がすんでいると思われるアパートに偽のテロ行為を演出してそれを口実に弾圧する計画がある、と伝えていたことがあるのその事への言及と思われる。

 

1.移民による脅しと意外な裏表の関係。以前にも書いたが、欧米諸国との長期戦では、大きな勝負所が移民による脅迫である(明日の大規模攻撃で、移民の流れはさらに70~150万人増える可能性がある)。ウクライナ穀物輸出を絶ち、カリ肥料の輸出を拒否することで、ロシアは飢餓による混乱を発生させ、発展途上国からの大量移住のシナリオを動かしているのだ。脅迫の理論的な可能性は、発展途上国への穀物の増産-移民の流入を減らす、である。 もちろん、西側からの互恵的な譲歩を引き出すための交渉として用いる可能性もある。しかし、すでに欧米の抵抗に遭っている。ウクライナとの戦争では、事実上すべての発展途上国が中立の立場をとっている。現在の地政学的な環境では、これはロシアのおかげだ。しかし、飢餓を弄ぶようなゲーム(そしてウクライナの燃料備蓄と穀物輸出物流の補給輸送拠点は、現在、私たちによって非常に組織的かつ正確に破壊されている)は、私たちが脅迫を可能にするよりもずっと早い時点で、逆に途上国を敵に回す可能性があるのだ。そして、欧米は今、この働きかけを積極的に行っているのだ。

2.ベルゴロド地方。現状では、政治的な解決策と軍事的な解決策がある。軍事的な観点からも、ウクライナがベルゴロド地方を大幅に前進させて「突発的」な攻勢に出ることは許されない。しかし、政治的な観点からは、これは十分にあり得ることなのだ。現在、ドンバス方面の軍事戦闘で大敗した場合(これも仮定の話だが)、ウクライナ軍にベルゴロド地方への「進入路」を与えるというオプションを社内で推し進めようとしているところだ。 コリドー(廊下)は、ある地域を全面的に明け渡すような形になり、それが可能になるのだ。

- ロシア領で戦争が起こる危険性を絵で示す。

- それがもたらす問題を顧みない総動員を行える。

- ウクライナ軍が占領した地域全体に「テロリストの先例」を作ること(一部地域だけを渡すこととなっている)

これは、外部の人間にとっては「ブチャ問題」から目をそらすことになり、同時に国内の人間にとっては、経済の問題から目をそらすことになる。重要なのは彼らが侵入することだ、爆発物とか他の工作物は豊富に用意されるだろう、そのために本庁の軍事部門が動員されるだろう。クリミアでは政治的な理由で、このようなことは不可能だ。軍部はそのようなアプローチには原則的に反対だが、軍部に関しては別に論じる。それに彼らは、ある意味では現在敗者の立場にある。

気になるのは、このベルゴロド地方でのウクライナ軍の攻撃、「テロ活動」とロシアが称するものがすでに生じていることだ。ロシアが発表した、ウクライナ軍によるロシア内地での攻撃(しかし、ウクライナ軍や米国が確認していない活動)がいくつも確認されていることだ。

他にも色々報告されている、似たようなある不思議なロシアによるウクライナの戦火報告があるが、偽旗作戦なのだろう。

3.軍部。軍部の腐敗問題は、戦争が終わるまでもはや意味を持たない(宮殿や住居が公開れている国防次官を逮捕しないことが合意された)。だからといって、みんなが何もかも忘れてしまったわけではない。捜査は慎重に進められ、逮捕のための資料も集められ、誰も逃れられないが、古い問題には当分手をつけない。それは戦争の後の話だ。

今の時点では、いわゆる「当てにならない」人たち、特にリーダー層との連携する方がより重要だ。現在、安定に対する最大の脅威は軍隊であり(これは私の個人的な評価ではなく、本庁と国の指導者の評価を述べている)、その脅威の規模は、彼らが言うように、広がりと深さの両方で拡大している。信用できない人が増え、先鋭化の度合いが増している。軍隊の防諜活動だけでは十分ではない。軍隊は閉じたシステムではなく、その人脈(と一定の政治的重み)は社会の非常に深いところにまで及んでいる。同時に、軍隊は定義上、組織構造も人材も、必要な基盤も持っている。今のところ、彼らの状況は反乱を起こす可能性とは程遠いものだが、予想される「軍事的な事態」が発生した場合、非常に重大な問題が発生する可能性がある。彼らに対する最終的な判断がどうなるかはわからないが、直接的な監禁による「隔離」も、あるいは色々な問題を理由に軍から追放するという可能性も、どちらとも高い。私は、軍の指導者たちのかなりが、素敵な口実のもとに投獄される可能性があることを、今、熱心に準備しているところだということは確証を持って言える。軍事作戦の終了命令が下される前に(理由は問わない)、「信頼できない軍の指導部」は、時には血まみれの地肌にさらされて、時には白骨になるまで洗わなければならない。

4.ウクライナ、南部戦線。指導者の立場からすると、ミコライフはある意味、マリウポルと同じくらい厄介な存在になりつつある。今のところ、そこに明確な解決策は見えず、軍事的な圧力をかけるには法外なコストがかかる。ミコライフは軍が進軍する前に陥落するという予想が、3日間でキエフを攻略する計算のリストに入っていたのである。でも、オデッサがある。軍事的な観点からも、オデッサの状況は我々にとって非常に悲しいものだ。今では少なくとも、以前の上陸を阻んだ嵐は、オデッサを救ったのではなく、我々の海兵隊を救ったのだと言える。ウクライナ人の軍事的防諜(NATOも協力している-これは事実)は、我々にとって特に問題である。というより、重要人物の排除を独自に計画していた軍部の問題である。しかし、そこには直接的な軍事的解決策はほとんどない。トランスニストリアへの突破作戦の可能性が明らかに失敗することは、最も絶望的な人にとっても明らかである。しかし、オデッサは、軍事を除くすべての面で混沌としているのが頼りだ。実は、オデッサSBUの防諜サービスは、ウクライナの地域サービスの中で最も弱いのだ。また、オデッサ地域の経済行政は、休息の原則に従って行われている、つまり、全く行われていない。最大の打撃はオデッサになるだろう。保護リストに載っていないが、同時に強制送還されると社会的・政治的混乱を引き起こす可能性がある人々のリストが作成される。目的は、有力な「ロシアの敵」を排除することではなく、地域空間を完全に混乱させ、状況を揺さぶり、万人の万人に対する対立のメカニズムを作動させることにあるのだ。我々の仲間はすでにオデッサを調査した。軍事目標に対する妨害工作はほとんど不可能だが、それ以外はほとんど無警戒だ。密輸と税関でなければ、地元のSBUは無能である。

5.カディロフ 潜伏し、陰謀を作り続ける。私たちも、さまざまな側面から彼にアプローチするようになり、彼もそれを理解している。最終的に誰が、誰を、どのようにするのかは、まだ難しい問題だ。

6.行方不明者。この問題は、戦後になってから本格的に展開されることになるが、その規模は正気の沙汰とは思えない。現在、行方不明者が現在の潜在的戦死者の主なカテゴリーとなっている。しかし、その数は変動が激しく、実情は不明だ。現代の戦争は、重火器のために遺体を発見することが物理的に不可能な場合もあるほどだ。実際に撤退できずに多くの人が死亡し、ある者は捕虜となり、ある者は逃亡し、またある者は連絡が取れなくなり、まだ戻ってくるかもしれない。この点では、どの機関も同じようなイメージを持っている。ウクライナ側とは、捕虜のリストを作成するために非常に活発な作業が行われている。しかし、大多数の行方不明者については誰も何も知らない。このデータは秘密であり、今では厳重に守られた国家機密のように隠されているのだ。行方不明者は稀にしか戦死者として扱われないが、ここで悪意を探す必要はない。生きて発見される可能性がある場合、軍官僚は問題を抱えることになる。最も皮肉な例を挙げよう。戦死者の親族はその補償をされるが、当人が、例えば重傷を負い、どこかに監禁されているのが見つかるなどして戻ってくるとする。その場合、親族に受け取った補償金を払い戻し、書類を書き直せと言えるのか。これは皮肉なことだが、官僚制にとっては解決不可能なことでもある。ということは、戦後もずっとずっと、行方不明者リストに載っている人がいることになる。そして、何千何万という人々が行方不明になっている。

7.全般的に。ナビウリナは、私が以前書いたことをすでに確認している。五月の終わりで「古き良き時代」は終わり、新しい経済体制へと移行する。その経済体制は存在したことがなく、まだ発見されたこともなく、それを作り上げようと思ったら想像もできないコストを我々は払わなければならない。輸入品の倉庫は、そのころには戦前に蓄積されたものがすべて空になっているはずだ。当局が戦略的備蓄品の開放というリスクを負うかどうかは不明である。耐乏すればまだ6か月は持つかもしれないらしい。これは90年代前半の生活基準だ。そしてもはやそんな未来を見通そうとするのは意味がない。以前は、何年も先を見通して予測をしてきた。今では、1か月先の予測ができれば成功と言えるだろう。

 

このFSBの内通者のメール自体に真正性があったとしても、この人物がどのくらいの職種、職位にいて、内部情報をどれくらい把握して見渡せるのかがわからないので、どこまでが事実あるいは本人の経験に基づいているのか、どこからが仮定、類推(あるいは妄想)なのかわからないので、その程度の物として扱って読んだ方がいいのかもしれない。

また論旨は一貫して、FSBの職員としての立場からの偏りがみられるので、ロシアの軍部や政府関係者とは全く視点が異なるのだろう(それだけに一種の迫真性もある)。

ただ、このメールが事実とすると相当ロシア当局内も混乱していて、さまざまな摩擦・争い・権力争いがあることはうかがえる。これが、現在、ロシアに敵対しているNATO諸国・西側以上に混乱しているのかどうかが、ロシア側と西側の対決を分ける決め手となるのだろう。

 

 

ロシアの今後に関するロシア連邦保安庁(FSB)内通者のメール

ロシアから現在はフランスと思われる地に亡命した、ロシアの人権・反体制活動を行うVladimir Osechkin氏が解説したブログ、gulagu-netにロシアのKGBの後継団体の一つであるロシア連邦保安庁FSB)の職員が、ウクライナ戦争が始まって以来、定期的に内部事情を暴露した一連のメールを公表してかなりの時間が立つ。

信憑性に関しては、ここ数年国際的に大変信頼高いBellingcatというイギリス発の調査報道サイトの編集者は、独自に元FSB職員と現役のFSB職員に確かめて一連のメールは確かにFSB職員による内通と特定したようだが、まあ、どの程度の情報を掴める立場にいる職員かもわからないので素人としてはその内容の真偽に関しては 判断はできない。

ただ、最初のメールはこのブログでも翻訳したのだが、その後の経緯を考えると、かなり真をついている(ロシアのウクライナ開戦は軍事のプロではなく、プーチン周辺のとりまきで計画されたなどのいきさつ)。  

一方で最近のメールには「この秋に中国は台湾統一のための戦争開始を考えていた」という内容があり、中国専門家からは、信憑性に疑問符が投げかけられてもいた。

その意味で玉石混交の情報と捉えなければいけないし、今から15年前にユン・チアンという中国出身の著述家が「マオー誰も知らなかった毛沢東」という本を出版したときに、「張作霖爆殺事件は関東軍ではなくKGBの仕業」というのをソ連の資料をもとに確認した、と書いたことがある。そしたら、「それー」と日本の右の歴史修正主義者が食いついたところ、どうもソースは戦後のブルガリアかどこかで酔っぱらったKGB職員のほら話が元だったいうことがわかったケースもある。

なので、たとえこの内通メールが本物だとしても、どのくらいの内部情報を把握できるレベルの職員なのか、またどれくらいが主観的な意見なのか見極めなければいけないが、ちょっと面白そうな内容が4月12日にgugalu-netに届いたメールに書いてあったので翻訳して紹介する。

実は、以前はgulagu-netのロシア語の文章を直接英語にAI翻訳サイトで翻訳して読んでいたのだが、訳がものすごく不安定で意味も読み取れない部分が多かったので、全く個人的興味で読んでいただけだった。

ところがこの前、ふとドイツで図書館員をしていてロシア語もある程度理解していた母が「ロシア語とドイツ語の翻訳の相性はいい」という言っていた言葉を思い出して英語ではなくドイツ語にAI翻訳したところ、レベルが全然違っていたので紹介する気になったというのも正直な話である。

さて、今回の内通メールはチェチェン人の軍閥?といっていいのか、プーチンにもっとも近いといわれるラムザン・カディロフに関してである。なぜロシアにほとんど民族抹殺の目にあったのに、その有力者がプーチンに一番近いと言われているのかは、個人的にも謎であった。

全部英語なのだが、カディロフがどのようにチェチェンとロシアでのし上がったのか、現在のウクライナ戦争でどのような役割を果たしているのかを知るのには、ロシア出身でウィルソンセンターの研究員、Kamil Galeevさんのツイートのスレッドを読めば背景がわかると思う。

 

https://twitter.com/kamilkazani/status/1497612331953577991…

 

 

カディロフと今後の戦争の見通しについて

022年4月12日のメール

件名:カディロフと戦争について
宛先:Gulag公式チャンネル<________@gmail com

ウラジミール、今日は!

 

カディロフは最近、非常に注目を集めているが、そこでこの人物について徹底して考えてみたいと思う。まず隠し事はしない。正直な話、彼に対して私には予断がある。でも個人的好悪を交えない、分析を試みたいと思う。

 

確かに、彼のいわゆる特殊部隊の一部は攻撃に参加しているが、カディロフは自分の準軍事部隊の活動を(「特別軍事作戦」の一部として)かなり以前からメディア活動に限定している。なぜなのか、できるだけわかりやすく信頼性の高い説明をしてみたいと思う。

 

・彼のいわゆる特殊部隊には彼の軍事的基礎をなす「カディロフ部隊」のエリート隊員はほとんどいなく、「チェチェン人の志願者」、それに警察部隊の一部等々が主力をなしている。

 

チェチェン人の戦闘協力はほとんどロシア軍の背後やドンバス・ルガンスクの親露部隊の背後で行われている。いわゆる「みせかけの戦い」だ。

 

・ロシア軍の指導部もドンバス・ルガンスクの親露部隊も、「チェチェン人のエリート部隊」がどこにいるのかをほとんど把握していない。

 

しかし、チェチェン自体には、現在、非常に活発な軍事的動きがあり、詮索の目から最大限に隠されている。ラムザン・カディロフが、内部の不穏、それから外部の脅威から自分の身を案じていると考えるあらゆる理由がある(我々の部局を含む、あらゆる部局で活動にあたる無数のイングーシ人がいる)。でも事情はもっと複雑かもしれない。

 

カディロフはロシアにおける内戦の必然性を認識しているだけでなく、分裂の可能性を積極的に押し締めていると考える理由がある(タカ派ハト派の分裂を利用)。彼は同時にこの分裂を悪化させて熱い状態にし、分裂が始まったときにそこから噴き出すであろう大きなマグマの力の支持を得ようとしている。

 

再び内戦についてだが、現在の実情は、この国に2つの選択肢を残している。一つは今までの間違った判断による結果が重なって、完全に崩壊することだ。もう一つは、内戦を機会に、国家の基本的設計の解決に飛びつくことだ。

そのような現実を主張することは、実は我々の部局の敗北を認めることでもあるのだ。だから、このテーマはまだ展開したくない。心が痛むから。

 

カディロフ自身は、ウクライナ、ドンバス、そしてこの作戦/戦争全体について関心がない。彼はすでにこの戦争/作戦は自分の計画の一要素に過ぎない別の現実を考えている。彼は多大な権力を背後に持つ愚か者と考えられていたが、彼ははるかに狡猾であることが判明してきた(ここで彼のことを賢いとは言いたくない)。現在、ラムザンは、(私たちが最近まで考えていたように)防衛のために閉じこもるのではなく、攻めに転じるつもりで、加速度的に計画を構築しているところだ。

実際、彼はロシア軍の軍事的失敗の主な受益者になるだろう。これから始まるドンバスの肉弾戦では、彼は自分の戦力をなるべく危険にさらさず、なるだけ無傷のまま保持するだろう。それに対して、残りのロシア軍はどのような戦果をあげても、著しく消耗し、疲弊する。

「必ずキエフに行進する」という最近の彼の自信満々の発言は、理論上でのみ可能な結果を想定しなければ、勝利の欲求を抑えられなくなったロシア社会における戦争支持者への裏切りとなるであろう。

我が軍がドンバスの戦いに勝利したとしても、戦力の弱体化のために、回復のための休止、それから陣地を固定し、緊急の兵力補充を行う必要性があり、しばらくはそれしかできないことになる。一方で、我が国に課された経済制裁のため、短期間で失われた技術的物的損害を回復することは非現実的だ。それに勝利を得るためにはもはや、非通常兵器の大規模な使用なしには不可能である。この種の近代的な衝突(シリア、イラク)の経験から、ロシアにとっての損失は、せいぜい10分の1とは言わないまでも、8分の1であろう。そのため結果を考えれば検討しない理由は何もない。これは「技術的に可能」である場合であり、かならずしも確実ではない。そのうえ、これに関しては関係者全員の同意がまず必要であり、これはかなり難しいであろう。さらに、技術的な可能性が「希望事項」に対応していることが要求されるのだが、ここですべてがつまずくだろう。実際にミサイルを発射するときに、発射地域に逆にミサイルを打ち込まれて愉快な結果とならないようにしなければいけない。それにまずはミサイルがちゃんと飛ぶかどうかだ。

つまり、カディロフはドンバス戦の後、自分が国内で最も強力で戦闘力のある武装勢力を保持することに気づくことになる。しかし、そうなると、誰も訳がわからなくなるような大騒動が始まることになる。前世紀初頭のロシアでは、ボルシェビキは本格的な勢力ではなかったが、個々の貴重な協力者の存在という状況を適切に利用し、タイミングを誤ることなく行動した。混乱した状況は、それまでチャンスがなかった人たちにチャンスを与え、状況に対して準備を整えていた者に機会を与える。

同時に、カディロフは「ロシアの愛国思想」の本当の信奉者ではない(彼の言う「自分たちはプーチンの歩兵だ」というほら話は、すべて愚か者向けの作り話である)。ロシアを丸ごと飲み込むことができれば、彼らにとって相当程度理想的な成功であろうし、まあ、条件付きで「コーカサス首長国」しか作れなかったとしても、カディロフと、この構想のために今非常に静かで整然とした地ならしを行っている人々にとって、これでは不十分だと誰が言うだろうか?実際の分析はすべて、混乱(内戦、総崩れ-ここでは冗長表現が許される)の始まりで終わる。どう見ても、カディロフはこの特別な計画のために他にはない準備をしている。他のすべては、彼の真の計画を隠すために作られた情報のばらまきである。

プーチンは、軍事、社会、経済などあらゆる便宜の上に政治的要求を置くことによって、自ら今回のロシア問題の危機を作り出したのである。我々には戦略がない – 上から広範な要求があり、「今すぐにでも達成するであろう」というスタイルでのみ、積極的な報告や計画が求められる(だから「分析」であって、本当の分析ではないのだ)。二週間前には、今回の危機によって、国のトップが責任ある一歩を踏み出し、状況を見極め、現状に対する真の解決策を探らなければならないという希望があった。しかし、その代わりに、キレてしまい、何としても負けを回収しようとするプレーヤーのような振る舞いが見られる。そして、誰も止めることができず、側近は彼を甘やかしてしまう(うちの部局の者が這いつくばっている様を見せたかった..)。

そして、特にカディロフは今、この問題から飛び出してきた。彼は他の人よりも大きな声で同意し、キエフへの進軍について他の人よりも大きな声で叫んでいる。しかし、今、彼こそ私たちが抵抗する力をもう持っていないような突破口を準備しているのだ。そして、これからの混乱の中で、古いものを失わず、新しいものに食らいつくための「強い手」に早くもしがみつこうとする勢力も多く出てくるかもしれない。しかし、この強靭な手は、勝利の後に彼らに見事にナイフを突き立てるということも事実だ。それは、どこか遠くの「美しい場所」で行われるのだろう。

しかし、ロシアで今現在この話をすることはできない。これをレポートに書くこともできない。何らかの大規模な対応もできない。Galich*がどうなったか覚えているか?

 

"そして、あなたは地上で狼を繁殖させる。

そして、しっぽを振ることを教える

そして、そのために代償を支払わなければならない-。

つまり、後になって知ることとなるのだ

そういうことだ”

 

つまり、カディロフはすでにこの「後」にいつでも対応できるように準備しているのだ。

それなのに我々は「裏切者」を捕らえるよう命令されている...一体全体どうなっているのだか。

個人的にはこれ以上、事態を防ぐ方法はないと判断し、「調査モード」に移行する…..

 

* Oleg Galichはカディロフの組織犯罪を追求していて逆に免職となったロシア内務省の調査官

 https://www.themoscowtimes.com/2014/11/24/kadyrovs-envoy-says-ready-to-testify-by-phone-after-evading-arrest-in-moscow-a41672 

 

ロシア政府系メディアで公表されたウクライナ破壊計画の全貌

イギリスのThe Timesも報道したように、Ria Novostiというロシア政府系のメディアに「ロシアはウクライナをどうするべきか」という記事が4月3日あたりに発表された。これは、ロシアがウクライナが今後どう扱うのかに関する、ロシア国民向けの広報の一部と思われる。

(ちなみに歴史学者のThimothy Snyderも自身のブログで取り上げていた) 

snyder.substack.com

さて、ここに英訳されたものを全訳してみた。

 

ロシアはウクライナをどうするべきなのか?

ティモフェイ・セルゲイチェフ

ウクライナの非ナチ化が不可避であることは、昨年4月の段階で書いていた。ロシアの敵であり、ロシアを破壊するために使われる西側の道具であるナチス、極右のウクライナは必要ないのである。今日、非ナチ化問題は現実的な展開を迎えている。

非ナチ化が必要なのは、相当数の国民(そのほとんどがそうである可能性が高い)がナチス政権に服従し、その使命に関与している場合である。つまり、「良い人-悪い政府」という仮説が当てはまらない場合である。この事実を認識することがこそが、非ナチ化政策とそのすべての措置の骨格を形成し、事実自体が課題を自ら構成するのである。

これがウクライナの置かれた状況である。ウクライナ有権者が「ポロシェンコ和平」と「ゼレンスキー和平」のどちらかを選んでいたという事実に惑わされてはならない。ウクライナ人は、過去2人のウクライナ大統領が当選時に強く示唆した電撃的に最短で平和を達成したことに満足していたのである。これは、オデッサ、ハリコフ、ドニプロ[RU原文では都市の旧名「ドニプロペトロフスク」]、マリウポリ、およびその他のロシアの都市で自国の反ファシストを「なだめる」ために用いられた方法、すなわち完全な恐怖の方法であった。そして、普通のウクライナ人はそれで構わなかったのだ。非ナチ化とは、技術的に戦犯として直接罰することができない、ナチ化された人口の大部分を対象とした一連の行動のことを指す。

武器を手にしたナチスは、戦場でできるだけ多く破壊しなければならない。ウクライナ軍といわゆる「民族主義大隊」、そして他の2種類の軍隊に加わった領土防衛隊との間に大きな区別をするべきではない。彼らは皆、民間人に対する恐ろしい暴力に等しく加担し、ロシア国民の大量虐殺に等しく加担し、戦争の法律と慣習を遵守していない。戦犯と現役のナチスは、見せしめとなるような方法で処罰されなければならない。全面的な清算が行われなければならない。ナチスの行動に関わるすべての組織は排除され、禁止されなければならない。しかし、最高幹部以外にも、相当数の一般人が受動的なナチスナチスの共犯者として罪を犯しているのだ。彼らはナチス当局を支持し、彼らに迎合している。これらの人々に対する正当な処罰は、ナチス体制に対する正当な戦争の避けられない苦難に耐えながら、民間人に対してはできる限り慎重かつ控えめに行われることによってのみ可能となるのである。大部分の人々に対するさらなる非ナチ化は、ナチスの世界観の思想的抑圧(弾圧)による再教育と、政治領域だけでなく文化や教育の領域でも厳しい検閲の形で行われることになる。ロシアに対するナチス政権の勝利による戦利品の分配の保証、ナチスプロパガンダ、内部暴力とテロ、ウクライナのナチズムに反抗したドンバスの人々に対する8年にわたる戦争を通じて、ウクライナ国民の広範な大規模なナチス化が、文化と教育を通じて行われたのである。

非ナチ化は勝者のみが行うことができ、それは、(1)非ナチ化のプロセスを無条件にコントロールすること、(2)そのコントロールを保証できる権威を持つことを意味する。そのために、非ナチ化される国が主権を持つことは許されな。非ナチ化を行う国家であるロシアは、非ナチ化に対して自由主義的なアプローチをとることはできない。非ナチ化のイデオロギーは、非ナチ化される罪人による反論を一切許さない。ロシアがウクライナの非ナチ化が必要だと認めるということは、クリミアに適用したシナリオをウクライナ全体に適用することはできないということを本質的に認めなければならない。率直に言えば、クリミアに適用したシナリオは2014年のドンバスの反乱でも不可能だった。ナチスの暴力と恐怖に対する8年にわたる反乱だけが、内部統一と、自らをナチスの共同体として認識しているウクライナとのいかなる関連性も保持しないことを意図的、明示的、広範囲に拒否する結果を得ることができたのである。

非ナチ化を達成するには時間が必要で、非ナチ化の条件下で生まれ、育ち、成熟しなければならない世代が最低でも1世代は必要であろう。ウクライナナチス化は30年以上続いている。早くも1989年から始まり、ウクライナ民族主義が政治的自己表現の法的正当な形態を与えられ、「独立」運動を主導したことこそが、ナチズムへの道筋をつけたのであった。

現在のナチス化したウクライナの特徴は、ナチズムを「独立」への憧れと「ヨーロッパ」(欧米、親米)の「発展」の道(実際は劣化へ)に偽装し、ウクライナに「ナチズムは存在しない」「散発的な事件がわずかにあるだけ」と主張できる明確な形のない、曖昧なものであることである。実際、ナチスの主要政党も、総統も、本格的な人種差別禁止法もない(ロシア語に対する弾圧という形で切り捨てられただけだ)。その結果、体制に対する反対も抵抗もない。しかし、上記のことは、ウクライナのナチズムが20世紀前半のドイツのナチズムの「軽装版であることを意味しない。

むしろ逆だ。ウクライナのナチズムは、典型的な「様式」の規範や制限(これは本質的に政治技術の産物である)から自由であるため、あらゆるナチズム(ヨーロッパと、その最も発展した形態であるアメリカの人種主義)を基礎として自由に広まることができるのだ。だからこそ、「NATOにノー、EUにイエス」式のように、非ナチ化の際に妥協はありえないのだ。西側集団は、それ自体がウクライナのナチズムの建築家、源流、スポンサーであり、西ウクライナの極右派支持者とその「歴史的記憶」はウクライナナチス化の道具の一つに過ぎないのである。ウクライナナチズムは、世界とロシアにとって、ドイツのナチズムのヒトラー版よりもはるかに大きな脅威となる。

つまり明確にすべきは、「ウクライナ」という名称は、ナチス政権から解放された領土にある完全に非ナチ化された国家組織の称号として残すことはできないのだ。ナチズムから解放された領土に新たに創設された人民共和国は、経済的自治社会保障の実践、住民のための必須のサービスシステムの回復と近代化に基づいて発展しなければならず、またそうするつもりである。

彼らの政治的方向性は、実際には中立ではありえない。ロシアを敵視したことに対する罪の償いは、回復、復興、発展の過程においてロシアに依存することによってのみ、贖うことができるのである。これらの領土で「マーシャル・プラン」を実現することは許されない。非ナチ化と両立する、思想的・実際的な意味での「中立」はありえない。新しい非ナチ化された共和国において非ナチ化の道具となる個人や組織は、ロシアからの直接的な組織的・武力的支援に頼らざるを得ない。

非ナチ化には、必然的に非ウクライナ化、すなわちソ連当局によってもともと人工的に行われた、歴史的にはそもそも小ロシアとノボロシア領の住民であった人々を、民族的要素の大規模で人為的拡大によって確立された偽のアイデンティティの否定が含まれる。共産主義超大国の道具であったのに、この人工的な民族意識は、その崩壊後も手付かずのまま放置されることとなった。それは、別の超大国(国家の上に立つ権力)、つまり西洋の超大国に従属的な役割へと移植されたのである。この人工的民族意識を、その自然の境界線内に戻し、政治的な機能を取り除く必要があるのだ。

グルジアバルト三国と異なり、ウクライナ国民国家として存在することは歴史的に不可能であり、そのような国民国家を「建設」しようとすれば、当然ナチズムに行き着く。ウクライナ主義は人為的な反ロシアの構築物であり、それ自体には文明の実体がなく、外来文明の従属的要素であるのだ。

脱極右だけでは、非ナチ化には十分ではない。極右派の要素は、ナチスウクライナのヨーロッパ・プロジェクトのための手段と外面の偽装に過ぎず、だからこそウクライナの非ナチ化は、必然的にその結果脱ヨーロッパ化を意味する。

極右派のエリートはせん滅されなければならない。彼らの再教育は不可能だ。行動と不作為を通じて能動的、受動的に彼らを支えてきた社会的「沼」は、戦争の苦難を経験し、そこで生で得た苦難の体験を歴史の教訓として、また罪の償いとして内面化しなければならない。ナチス政権を支持せず、その政権とドンバスで始まった戦争から被害を受けた人々は、統合され組織化され、新しい当局とその縦と横の枠組みの基盤とならなければならないのだ。歴史が証明していることは、戦争中の悲劇やドラマは、ロシアの敵役として誘惑され流された民族を利することである。

特別軍事作戦の目標としての非ナチ化とは、作戦自体の範囲内で、キエフ政権に対する軍事的勝利、武装したナチ化の支持者からの領土の解放、強硬派ナチスのせん滅、戦犯の投獄、平時におけるさらなる非ナチ化のためのシステム的条件の整備を意味する。

後者は、ナチスの要素を排除した地方自治体、民兵、国防機関の設立、それらに基づく新しい共和制国家の設立プロセスの開始、この国家とウクライナの非ナチ化を行うロシア機関(例えばロシア連邦交流庁をベースに新設・改編されたもの)との密接な協力への統合から始めなければならない。ロシアの管理下における非ナチ化に関する共和国の規制の枠組み(法律)の採択、非ナチ化によって解放された領域でロシアの法律とロシアの司法権を直接適用するための境界と枠組みの定義、旧ウクライナにおける人道に対する罪の法廷の設置などである。この点で、ロシアはニュルンベルク裁判の後見人として行動すべきである。

以上で述べたことが意味するのは、非ナチ化を達成するためには住民の支持が必要であると同時にキエフ政権の恐怖、暴力、イデオロギー的圧力から解放され、情報的孤立から脱した後に住民のロシア側への移行も必要となる。

もちろん、人々が軍事的敵対行為のショックから立ち直り、ロシアが"見捨てない "ということの長期的な意図を確信するには、ある程度の時間が必要である。対象となる地域における大衆が、どの地域で決定的に必要な多数派を構成するのか、正確に予見することは不可能である。いわゆる「カトリック州」(5つの州からなる西ウクライナ)は、親ロシア派の領土になる可能性は低い。ただし、その境界線は実験的に見出さざるを得ない。境界線の裏側には、正式にナチズムを禁止し、しかしロシアに対して敵対的な、強制的に中立・非武装ウクライナが残る。嫌ロシア主義者の行くところはここしかない。ここに列挙された要件に従わない場合は、軍事作戦を直ちに継続するという脅しが、いまや時代遅れになったウクライナを中立国に追いやる保証とならなければならない。おそらく、そのためには、その領土にロシア軍が常駐することが必要になるだろう。境界線からロシア国境までは、本来反ファシズムであるロシア文明に統合される可能性のある領域となる。

軍事的な段階から始まったウクライナの非ナチ化作戦は、平時にも軍事作戦時と同じような論理で進んでいく。それぞれの段階で、その段階の成果となる不可逆的な変化を実現することが必要だ。

この場合、必要な非ナチ化の初期段階は以下のように定義できる。

- ナチス武装組織(ウクライナ軍を含むウクライナのあらゆる武装組織を意味する)と、その活動を保証する軍事、情報、教育インフラを撤廃すること。

- ナチスの地下組織の恐怖から国民を守るために、解放された地域の人民自治機関と民兵(防衛と法執行)を設立することです。

- ロシアの情報空間の設置。

- ナチスの思想的指針を含む教材の押収と、あらゆるレベルでのナチ思想を含む教育プログラムの禁止。

-戦争犯罪、人道に対する罪、ナチスイデオロギーの普及、ナチス政権への支援に対する個人の責任を立証することを目的とした大量調査。

-公務追放、ナチ政権の同調者の名前を公表、ナチ活動への罰としてさらに破壊されたインフラを再生するための強制労働への従事(死刑や刑務所に収容されたものを除いた者が対象)

- ロシアの監督の下、地方レベルで、「下からの」非ナチ化の主要な規範的行為、ナチス思想の復活のすべての種類と形態の禁止を採択すること。

- ウクライナ・ナチズムの犠牲者のための記念碑、記念標識、モニュメントの設置、ナチズムとの闘いの英雄の記憶の永続化。

- 新しい人民共和国の憲法に反ファシストとデナズ化の一連の規範を盛り込むこと。

- 25年間の恒久的な非ナチ機関の設置。

ロシアのウクライナの非ナチ化過程で味方はいないだろう。なぜなら、これは純粋にロシアの課題だからだ。そしてまた、根絶されるのは極右型ナチスウクライナだけではないからだ。この過程は、西側の全体主義、世界中に押し付けられた文明の劣化と崩壊のプログラム、欧米という超大国のもとでの隷属のメカニズムの崩壊を反映する。

ウクライナの非ナチ化計画を実行に移すためには、ロシア自身が最終的に親ヨーロッパ、親西欧の幻想と決別し、歴史的なヨーロッパ(旧世界)の価値を保護し、保存する最後の権威はまさにロシア自身であり、西側はそれを保持する戦いに敗れたのだということを認めることだ。この闘いは20世紀を通じて続き、表裏一体となった世界大戦とロシア革命にその姿を現した。

ロシアは20世紀、西側諸国を救うためにあらゆる手を尽くした。国民国家を打ち負かす資本主義に代わる西側の主要なプロジェクト、すなわち社会主義の赤い計画を実行に移したのもロシアだ。そして、西洋文明の危機が生んだ怪物的な子孫であるドイツのナチズムを粉砕した。ロシアの利他主義の最後の行為は、友好の手を差し伸べることであったが、そのために1990年代にはとんでもない打撃を受けた。

ロシアが西側のためにしてきたことは、すべて自らその負担を背負い、最大の犠牲を払ってしてきたことだ。西側は結局、こうした犠牲をすべて否定し、西側危機の解決に貢献したロシアの評価を下げ、無私の奉仕をしたロシアに復讐することにしたのである。

今後、ロシアは、西側の運命など気にせず、自国の遺産のもう一つの部分である脱植民地化の世界的プロセスにおけるリーダーシップに依存しながら、独自の道を歩んでいくだろう。

このプロセスの一環として、ロシアは、西洋が何世紀にもわたって抑圧してきた国々、そして再び西洋の軛にかかることを嫌う国々とのパートナーシップやアライアンスに関しての高い可能性を持っているのである。ロシアの犠牲と闘争がなければ、これらの国々は解放されることはなかっただろう。

ウクライナの非ナチ化は同時に脱植民地化であり、いわゆる「ヨーロッパの選択」を選ぶことがどのような毒性、誘惑、依存をもたらすのかをウクライナの人民は理解しなければいけないだろう。

 

一読しての印象は何とも恐ろしい、不気味であると同時に、あまりに非現実的な妄想でおかしくもあった。しかし、現実にこの世界観の下でウクライナでは虐殺が行われている。

しかも、しばしば指摘されるように無差別にではなく、おそらくこの世界観を基にした命令で選択的に虐殺が行われ、一部では子供が大量にロシアに連れ去られ、ロシア人夫婦と強制的に養子縁組されていることが報道されている。

その意味で現在のプーチン政権のやり口は、民族抹殺・民族改良という意味でナチスを想起させるし、あるいはスターリン的粛清を思い出させもする。

と同時に一種異様な気持ち悪さと哀れさも感じる。これは言わば、夫婦あるいはカップルで、一方が愛想をつかして出ていこうとしているのに、執拗に暴力に訴えて「お前は俺のものだ、お前は俺と一緒にいてこそ幸せになれる。俺とお前は永遠に別れられない」といって馬乗りになって殴り続ける男の気持ち悪さと哀れさに共通するようにおもう。この男と同様、他の誰でもないプーチンとロシア自身の行動が周囲の国々を次々に離反させている。

いずれにせよ、ヒトラースターリンとの妥協が不可能だったようにプーチンとの妥協も不可能であると日本を含む西側諸国はそろそろ本格的に覚悟しないといけない。

「21世紀の時代にこんなむき出しの国と国の戦争が繰り広げられるなんて・・・」という方々がおり、その気持ちもよくわかるが、最近思うのはながらく我々は幻想を見ていただけで、ポスト・モダン、ポスト・ナショナリズムこそが幻想で、我々はいまだに19世紀から連綿と続く、帝国主義の時代を生き続けているのではないかということである。

日本も遅れてきた帝国主義国家であったが、さらに遅れて出現した帝国主義国家、それこそ中国とロシアではないかということだ。これについてはまた考えがまとまったら何か書きたい。

 

 

 

 

 

                                                     

冷血漢だが合理的で理性的独裁者と見做されていたプーチンはどうして、自分本位の一方的な妄想に固執するようになったのか。

著名なロシアの独立系ジャーナリストでプーチンとその側近に関するノンフィクション"All the Kremlin's Men: Inside the Court of Vladimir Putin" (たまたま数年前に読んだのですが、必読。私と同じようにロシアに関する素人だと、詳細な事実に圧倒されますが)を記したミハイル・ズィガー(あるロシア文学研究者はツイッターでミハイル・ズィガリと記していたのこちらの方が正しいかもしれない 

https://twitter.com/yuvmsk/status/1502880029440557059 )がNew York Timesで記したOpinionが非常に面白かったので、それをここに訳出した。
ツイッター朝日新聞の国末憲人氏が抄訳を紹介していたのだが、ここに戯れに全訳を公開します(翻訳許可をとっていないので海賊,,,エッヘン)。
いずれにしても、この通りだとすると今後の見通しがまったくたたず、第三次世界大戦か、ほとんど望み薄いロシア国内のクーデターでしかプーチンを止められない。
 

プーチンはいかにして現在への関心を失ったのか?

2022年3月10日

ミハイル・ズィガー著

ズィガー氏はロシアのジャーナリストで、"All the Kremlin's Men: Inside the Court of Vladimir Putin "の著者である。

 

ウラジーミル・プーチンウクライナへの侵攻を決めたおかげで、ロシアはかつてないほど孤立してしまった。経済は制裁下にあり、国際的な企業は撤退している。報道機関はさらに制限され、残っているのはパラノイアナショナリズム、虚偽の報道である。国民は、国境を越えた他者とのコミュニケーションをますます失っていくだろう。そして、このような中で、ロシアはますます大統領に似てくるのではないかと、私は危惧している。

 

私は長年にわたり、ハイレベルなビジネスマンやクレムリンのインサイダーに話を聞いてきた。2016年、私はプーチン氏の側近に関する本"All the Kremlin's Men: Inside the Court of Vladimir Putin "を出版した。それ以来、続編の可能性を考えて取材を続けている。元KGBの将校であるプーチン氏は常に秘密主義で陰謀論者であり、大統領の周りで起こっていることは不透明であるが、匿名を条件に私に話す私の情報源は常に正しいものであった。この2年間、大統領の行動について私が聞いたことは、憂慮すべきことだ。彼の隠遁生活と近づきにくさ、ロシアのウクライナ支配を回復させなければならないという深い信念、イデオローグとおべっか使いで自分自身を取り囲むという決断はすべて、ヨーロッパを第二次世界大戦以来最も危険な瞬間に導くのに役立っているのだ。

 

プーチン氏は2020年の春から夏にかけて、モスクワとサンクトペテルブルクのほぼ中間にあるバルダイの邸宅で隔離生活を続けてきた。政権関係者によると、そこにはユーリ・コヴァルチュク氏が同行していたという。コヴァルチュク氏はロシヤ銀行の筆頭株主で、国営メディア数社を支配しており、1990年代からプーチン氏の親友であり、信頼できるアドバイザーでもある。しかし、私の情報筋によれば、2020年までには、彼は事実上のロシアのセカンドマン、大統領側近の中で最も影響力のある人物としての地位を確立していた。

 

コバルチュク氏は物理学の博士号を持ち、ノーベル賞受賞者のジョレス・アルフェロフ氏が率いる研究所に在籍していたこともある。しかし、彼は単なる科学者ではない。正統派キリスト教神秘主義、反米陰謀論、快楽主義を組み合わせた世界観を信奉するイデオローグでもある。これは、プーチン氏の世界観でもあるようだ。2020年の夏以降、プーチン氏とコバルチュク氏は、ほとんど切っても切れない関係にあり、二人でロシアの偉大さを回復するための計画を立てている。

 

この2年間、プーチン大統領と側近との会話を知る関係者によると、大統領は完全に現在への関心を失っているという。経済、社会問題、コロナウイルスの大流行、これらすべてを彼は煩わしいと思っている。その代わりに、大統領とコバルチュク氏は過去にこだわっている。フランスのある外交官は、先月の会談でプーチン大統領から長い歴史の講義を受けたとき、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は驚いていた、と言った。しかし、マクロンは驚くべきではなかった。

 

プーチン氏の頭の中では、これまでの屈辱からようやく立ち直れるという、特異な歴史的状況にあるようだ。プーチン氏とコバルチュク氏が初めて会った1990年代は、ソ連崩壊後で二人とも足元がおぼつかない時期であり、国もまた同様であった。西側諸国はロシアの弱みにつけこんで、NATOをできるだけ国境に近づかせたと彼らは考えている。プーチン氏の考えでは、今日の状況は逆である。弱っているのは西側だ。プーチン氏がまともに相手にしていた西側の指導者は、ドイツの前首相アンゲラ・メルケル氏だけだった。今、彼女はいなくなり、ロシアは1990年代の屈辱を晴らす時が来たのだ。

 

今、異なった意見を言ってくれる人が周りにいないようだ。プーチン氏を知る人によると、プーチン氏はもう仲間と酒を飲んだりバーベキューをしたりすることはないそうだ。近年、特にパンデミックが始まってから、彼はアドバイザーや友人との連絡をほとんど絶っている。かつては、まるで皇帝のように臣下の論争に乗じて、臣下が互いに糾弾するのを聞き、互いに対立させるのを楽しんでいたように見えたが、今では、かつての側近のほとんどからさえ、孤立し、距離を置いている。

 

警備員は厳格な規則を課している。かつて大統領の個人秘書を務め、現在は国営石油会社ロスネフチのトップであるセチン氏でさえ、1週間の検疫を受けなければ大統領に会うことはできないのだ。セチン氏は月に2、3週間、大統領と会うために隔離されるという。

 

私は"All the Kremlin's Men: Inside the Court of Vladimir Putin "の中で、「プーチンの集合体」現象、つまり大統領が何を望んでいるかを常に熱心に先取りしようとする側近の姿を紹介した。プーチンの取り巻きは、プーチンが聞きたいことを的確に伝える。この「プーチンの集合体」は、いまでも存在する。世界中は侵攻の前夜、プーチンが高官を一人ずつ呼び出して、来る戦争について意見を求めたとき、それを目の当たりにした。彼らは皆、自分の任務を理解し、従順に大統領の考えを自分たちの言葉で表現しようとした。

 

この儀式は、ロシアの全テレビ局で放送され、国のトップ全員を血で塗りかためるはずだった。しかし、プーチン氏が自分の古参の部下に完全にこりごりしていることも見て取れた。彼らに対する軽蔑はあきらかだった。例えば、対外情報庁の長官であるセルゲイ・ナリシキンに公然と恥をかかせ、ナリシキンが吃りながらすぐに発言を訂正し、プーチン氏の言うことに何でも同意したとき、プーチンは彼が怯えていたのを楽しんでいたようだった。こいつらはイエスマン以外の何者でもない、と大統領は言っているようだった。

 

何年も前から報じているように、プーチン氏の側近の中には、ロシアを救えるのは自分だけだ、他の指導者候補は国を滅ぼすだけだと説得してきた人がいる。このメッセージは、2003年に大統領が退陣を考えたとき、KGB出身のアドバイザーたちから「留任したほうがいい」と言われたときまで遡ることができる。数年後、プーチン氏とその側近は「後継者作戦」を議論し、ドミトリー・メドベージェフが大統領になった。しかし、4年後、プーチン氏は後任として戻ってきた。今、彼は本当に、自分だけがロシアを救うことができると信じるようになった。それどころか、周りの人間はむしろ自分の計画を頓挫させかねないと思うほど、自分自身のみを信じている。したがって周囲の人間も信用していない。

 

これが、我々が直面している世界だ。孤立し、制裁を受け、世界に対して孤独なロシアは、まるで大統領のイメージ通りに作り変えられようとしているように見える。プーチン氏のすでに非常に緊密な内部サークルは、さらに緊密になるだろう。ウクライナで犠牲者が増える中、大統領は足元を深く掘っているように見える。彼は自国への制裁は「宣戦布告」だと言っているのだ。

 

しかし、同時に彼は、完全な孤立は、最も信頼できない要素の大部分がロシアから離れると信じているようだ。この2週間、経営者、俳優、芸術家、ジャーナリストなど、抗議する知識人たちは急いで国外へ脱出した。私は、プーチンやコヴァルチュクの観点からすれば、このことがロシアをより強くすることになると信じているのではと危惧している。

 

Mikhail Zygar (@zygaro) は独立系TVニュースチャンネルDozhdの元編集長で、"All the Kremlin's Men: Inside the Court of Vladimir Putin" の著者である。

 

ウクライナ侵略以前に、ロシアの侵略計画に警告をした元ロシア将官の論考

ウクライナ侵略以前に、ロシアの侵略計画に警告をした元ロシア将官の論考。元リンクはこちら。今の時点から振り替えて読むと、恐ろしいほど予想が当たっている。ロシアでも、わかっている人はわかっていたことの証左。

russiandefpolicy.com

 

ロシアによるウクライナ戦争の行方について、Mikhail Khodarenok氏の記事が先週のNVOに掲載された。彼は知識が豊富で現実的な分析家だ。

彼の軍歴と参謀本部での勤務からしてロシアの愛国者である。しかし、彼は、クレムリンが聞きたくないが、聞く必要があることを言う人である。

Khodarenokは、ロシアが大幅に改良された軍隊を持ちながら、軍事行動に対して過信していることの危険性を指摘している。彼の記事は、米国が戦争を考えているときに多くの西側オブザーバーが書くものに似ている。しかし、ロシアでは、Khodarenokは孤独な声なのだ。

ウクライナとの戦争は、モスクワの傲慢さが示すように簡単なものではない、と彼は主張する。

プーチンが戦争に踏み切らないことを祈るばかりだ。しかし、もしそうなれば、プーチン自身にとっても、すべてが変わってしまう。彼は今、どのように変化するか想像もつかないだろう。

いずれにせよ、、Khodarenokのタイムリーな記事の翻訳を紹介する。

 

血に飢えた識者たちの予言:歓喜する鷹と慌てるカッコウのように

最近、ロシアの専門家の間では、ウクライナの軍隊は哀れな状態なので、軍隊を投入する必要さえないだろう、という意見が十分に根付いている。

ロシアの強力な攻撃によって、監視・通信システム、大砲、戦車隊はほとんど破壊されるだろうと指摘する識者もいる。さらに、多くの専門家が、ロシアの一撃でもこのような戦争を終わらせるのに十分であると結論付けている。

さらに、ウクライナでは誰も「キエフ政権」を守ろうとしないという事実も、さまざまなアナリストが指摘している。

一筋縄ではいかない

まず、最後から始めよう。ウクライナでは誰も政権を守らないと断言するのは、隣国の軍事的・政治的状況や広範な大衆の気分について、実質的にまったく知識がないことを意味する。そして、隣国のモスクワに対する憎悪(よく知られているように、これは武力紛争の最も効果的な燃料である)の程度は、明らかに過小評価されているのである。ウクライナの誰も、パンや塩や花でロシア軍を迎え撃つことはないだろう。

2014年のウクライナ南東部の出来事は、誰にも何も教えていないようだ。それから、左岸のウクライナ全体が一挙に、秒速でノボロシア(新ロシア)になるとも考えているようだ。彼らはすでに地図を描き、将来の都市や地方行政のための人員配置を考え、州旗を作り上げている。

しかし、ウクライナのこの地域(ハリコフ、ザポロジェ、ドニエプロペトロフスクマリウポリなどの都市も含む)のロシア語を話す人々でさえ、同様の考えを圧倒的多数で支持していたわけではなかった。「ノボロシヤ」プロジェクトは、いつの間にか静かに萎み、静かに死んでいった。

一言で言えば、2022年に1939年の形と似通った解放十字軍をやっても、どうにもうまくいかないということだ1。この場合、ソ連文学の古典であるアルカディ・ゲイダルの言葉は、かつてないほど真実味を帯びている。"今は簡単な戦いはなく、困難な軍事キャンペーンになることは明らかだ"

「血をほとんど失わず、最大の一撃を」

さて、「ロシアの強力な攻撃」についてだが、「実質的にウクライナ空軍のすべての監視・通信システム、それに砲兵隊、戦車隊」が破壊されることを前提としている。

この表現一つをとっても、これは政治家しか、こんな言い方をしないことがわかる。参考までに、軍事作戦地域[TVD]規模の仮想的な軍事行動の過程では、優先目標への打撃と大量火器による攻撃が行われる。作戦戦略計画の過程では、「強力な」(「中程度の」、「弱い」なども)という形容詞は使われないことに注意。

軍事科学では、攻撃には戦略的なもの(これは戦略核戦力に関係する部分が多い)、作戦的なもの、戦術的なものがあることが強調されている。参加する軍隊と破壊される目標によって、攻撃は集団、グループ、個人のいずれにもなりうる。また、政治的な性格を持つ書類であっても、他の定義を導入したり使用したりしない方がよい。

優先目標への攻撃と大量集団砲撃は、戦線(ロシア西側国境の戦線はまだ形成されていない)または軍事作戦場の軍隊の主指揮部(南西部の戦略方向にもそのようなものはまだ確立されていない)の範囲内で行うことができる。これ以下の規模のものは、大量集団砲撃とは言えない。

そして、例えば、前線集団火力攻撃(MOU)とは何なのか。まず注目するのは、戦線の指揮官(作戦戦略上の大きな単位)が自由に使える最大数の戦闘準備部隊と航空、ミサイル部隊と砲兵、EWシステムの手段が前線集団火力攻撃(MOU)に組み込まれているかどうかだ。

前線集団火力攻撃(MOU)とは、航空機の1回の大量出撃、OTRミサイルおよびTRミサイルシステムの2-3回の発射、数回にわたる砲撃のことを言う。

これによって敵への火器破壊の程度が60〜70%であればよい。

ウクライナとの紛争に当てはめると、この問題の主旨どうなるのでしょうか。

言うまでもなく、前線集団火力攻撃(MOU)は敵の可能性が高い相手に大きな損失を与える。

しかし、たった1回の攻撃だけ行うことで、一つの国家全体の軍隊を粉砕するような攻撃を達成することを期待するということは、単純に戦闘作戦を計画し実施する過程で、抑制のきかない楽観主義が出現したことを意味する。

このような結果を達成するためには前線集団火力攻撃(MOU)は、軍事作戦地域における仮想的な戦略的作戦の過程で、一度か二度ではなく、もっと頻繁に提供されなければならないのである。

ロシア連邦軍には、将来性のある高精度の兵器が、無制限に供給されているわけではないことを付け加えておく必要がある。

極超音速ミサイル "ツィルコン "はまだ兵器庫にない。また、「カリブル」(海上巡航ミサイル)、「キンザル」、Kh-101(空中発射巡航ミサイル)、「イスカンダル」用ミサイルの数量はせいぜい数百(「キンザル」の場合は数十)程度である。

この兵器庫は、人口4,000万人以上のフランス規模の国家を地球上から消し去るには全く不十分である。そして、ウクライナはまさにこのようなパラメータによって特徴づけられている。

制空権について

ロシアの専門家の間では、(特にドゥーエのドクトリン信奉者によって[注:イタリアの戦略爆撃理論家Giulio Douhet、1869-1930年])ウクライナでの仮定の戦闘作戦はロシアの完全な航空優勢下で行われるため、戦争は極めて短期間に終了すると主張されることがある。

 しかし、1979年から1989年にかけての紛争で、アフガニスタンの反対派の武装組織は、一機の航空機も戦闘ヘリも持っていなかったことが、いつの間にか忘れ去られている。そして、この国の戦争は10年間も続いたのだ。チェチェン共和国の戦闘員は、飛行機を1機も持っていなかった。そして、彼らとの戦いは数年続き、連邦軍に多大な血と犠牲をもたらした。

そして、ウクライナ国軍には戦闘航空がある。防空装置ももっている。

実際、2008 年の紛争では、ウクライナの地対空ミサイル部隊(グルジア軍の一部として)がロシア空軍を大量に撃ち落とした。

戦闘開始後、ロシア軍の指導部は明らかにその損害にショックを受けていた。そして、このことを忘れてはならない。

前もって、喪に服す

さて、"ウクライナの軍隊は哀れな状態である "というテーゼについてだ。当然、ウクライナ軍は航空や近代的な防空システムという点では問題がある。しかし、次のことを認識しなければならない。

ウクライナ軍が2014年までソ連軍の断片を代表していたとすれば、この7年間で、まったく異なるイデオロギーの基盤の上に、大部分がNATOの基準で、質的に異なる軍隊がウクライナに作られた。そして、非常に近代的な武器や装備が、北大西洋同盟の多くの国からウクライナにもたらされ、今ももたらされ続けている。

ウクライナ軍の弱点である航空戦力について。西側諸国は、キエフの軍隊に自分たちが持っているもの、簡単に言えば中古の戦闘機を、十分に短期間で供給することができると言われているので、それを排除することはできない。しかし、それらの中古品は、ロシアの在庫の大半の航空機に完全に匹敵するものだろう。

もちろん、今日、ウクライナ軍は、戦闘と運用の可能性において、ロシア連邦軍に大きく遅れをとっている。このことは、東側でも西側でも、誰も疑っていない。

しかし、この軍隊を軽んじてはいけない。この点で、アレクサンドル・スヴォーロフの訓示を常に思い出すことが必要である。"敵を軽んじるな、自分より愚かで弱い存在と思うな "だ。

さて、西側諸国はウクライナのために一人の兵士も死なせないという主張について。

そうなる可能性が高いということを、私たちは知っておかなければならない。

しかし、ロシアが侵攻した場合、西側諸国がウクライナ軍に対して、最も多様な種類の武器や軍備、あらゆる種類の物資を大量に提供する大規模な支援を行う可能性を排除することはできない。

この点で、西側諸国はすでに前例のない強固な立場を示しているが、モスクワでは予想外だったようだ。

アメリカや北大西洋同盟諸国から、第二次世界大戦のときと同じように、生まれ変わったレンドリースが始まることを疑ってはいけない。西側諸国からのボランティアで戦闘員が参加すること、それも非常に多くなる可能性は排除できない。

パルチザンと地下抵抗者たち

そして最後に、長引くと予想される軍事作戦について。ロシアの専門家の間では、数時間、時には数十分で終わると言われている。その一方で、なぜか彼らは、我々がすでにこのようなことを経験していることを忘れている。「2 時間でパラシュート連隊 1 つで都市を制圧する」というフレーズは、すでにこのジャンルの古典となっている[注:1994年にロシア軍がチェチェンの首都グロズヌイを簡単に占領できると元国防相Pavel Grachevが主張したことに言及。実際には、正月の不用意な攻撃で壊滅的な被害を受けた]

また、スターリンの強力なNKVDと数百万人のソ連軍が、西ウクライナ民族主義者の地下組織と10年以上も格闘してきたことも忘れてはならない。そして今、ウクライナ全土がパルチザンになる可能性があるのだ。さらに、これらの組織は簡単にロシアの領土で活動を開始することができる。

ウクライナの大都市における武力闘争は、一般に予測に適さない。武力紛争の弱者や装備が整っていない側にとって、大都市は最高の戦場であることは一般に知られている。

本当の専門家は、大都市では、数千、数万の戦闘員の集団を集中させるだけでなく、敵の優れた火力から守ることも可能であると指摘している。そしてまた、長期間にわたって物資を供給し、人や装備の損失を補充することもできる。山、森、ジャングルは、今日、そのような可能性を持っていない。

専門家は、都市環境は防衛側を助け、攻撃側の動きを鈍らせ、1平方メートルあたり最も多くの戦闘機を配置でき、戦力と技術の差を補うことができると確信している。しかし、ウクライナには、人口100万人の都市を含め、十分すぎるほどの大都市がある。したがって、ロシア軍は、ウクライナとの予想される戦争の過程で、一つのスターリングラードや一つのグロズヌイの経験をはるかに上回る戦いに直面することになる。

結論

一般的に言って、ウクライナでは電撃戦はありえないだろう。「ロシア軍は 30~40 分で ウクライナ軍のサブユニット11 の大部分を破壊する」「ロシアは本格的な戦争になれば 10 分でウクライナを破壊できる」「ロシアは 8 分でウクライナを破壊する」といった一部の専門家の発言は、まともな根拠がないものである。

そして最後に、最も重要なこと。今のウクライナとの武力衝突は、根本的にロシアの国益を満たさない。したがって、一部の興奮したロシアの専門家は、帽子を投げるような空想は忘れた方がいい。そして、これ以上のダメージを防ぐためにも、二度と彼らを呼ばないことである。」

なぜロシア軍のウクライナ侵攻は、こんな惨めな始まり方をしたのか、そして今後は。

以後、二つの文章の翻訳を掲載する。どれも元々はロシア語で書かれたもので自分にはロシア語の知識はゼロなので、ロシア語を英訳したものを日本語に訳するという迂遠な経緯を得て文章となっている。

一つ目は、文字通りロシア語をGoogle翻訳を使って英訳し、その後和訳したもの。二つ目は、ロシア語の論文を英訳した海外のサイトの文章を和訳したもの。したがって一つ目よりは二本目の方が自然な日本語になっている。

一つ目の文章は、twitterでも話題になっていた今回のウクライナ戦争に関して、ロシア連邦保安庁の職員が内部事情を暴露したとされるもの。正直な話、最初はfakeかとも思ったがかなり信用のできるBellingcatという調査報道を得意とするネットメディアの編集者が自分自身のインフォーマントのロシア連邦保安庁の職員2名に確認したので信用性がましたのと、本日、The Timesが同じ情報をもとに記事にしたので、大丈夫かなと思って自分の訳を公開したいと思う。

もう一つは、これは上の訳と対比すると非常に面白いのだが、ロシア軍事情報専門の英語ブログで紹介された、今年1月終わりか2月初めにロシアの軍事専門誌に投稿されたロシアの元将官が噂されるウクライナ侵攻を批判した論考。いま読むとまるで予言かと思う正確さ。両方を読むと、現在のロシアの指導部の非常に恐ろしい状況がわかってくる。

 

どちらも非常に長いが読みでがある。

 

18年以上 ロシア連邦特務機関の内部情報提供者の一人の証言を編集・検閲なしで公開します。 これは地獄ですから。

「すべて正直に言いう。私はここ数日、ほとんど眠っていない、ほとんどすべての時間を仕事で、私の頭は、霧の中にいるように少し浮ついている。過労のせいで、まるですべてが現実ではないかのような状態に陥っていることもある。

正直言って、パンドラの箱が開けられた。夏までには本当の世界的恐怖が始まるだろう。世界的飢饉は避けられない(ロシアとウクライナは世界の穀物の主要供給国だったが、今年の収穫は少なく、物流の問題で大惨事はピークに達するだろう)。

上層部が何を基準にこの作戦を決定したのか、私にはわからない。

しかし、彼らは今、我々(サービス)を的に計画的にすべての犬を放っている。

我々は、我々の提供した分析について怒りをかっている。これは私のプロファイルに非常に近いので、何が問題なのかを説明する。

最近、我々は上層部の要求に合わせてカスタマイズ化されたレポートの提出を求められていた。私はかつてこの話題に触れたことがありますよね。

 政治コンサルタント、政治家とその部下、影響力のあるチーム - これらすべてがカオスを生み出した。それも強いカオスを。

何より、こんな戦争が起こることを誰も知らされなかった、隠されていたのだ。

例えば、刑務所が隕石で攻撃された場合など、様々な状況下で国益が守れる可能性を計算するように(条件付きで)言われる。

そこで隕石について詳細を聞く。そうすると、このシュミレーションはただ、稔のための保険だ、実際にはこんなことは起こらない、と言われる。

報告書の作成は見せかけだけだとわかった。ただ、それだとしても上手くいく報告書でないと、なぜこんなに問題があるのか、本当に最善をつくしたのか、と疑問を持たれないように、全てが上手くいくと勝ち誇ったように書かなければならない。

こうして全般的に、隕石が落ちてきたときに、その影響を排除するために我々はすべての手段を持っている、我々は素晴らしい、すべてうまくいっている、という報告書が書かれているのだ。

 で、その後現実的な日常のタスクに集中する。ただでさえ余力が足りない。そしたら、突然隕石が落ちてきて、ブルドーザーに追われて急いで書いた分析報告書の結果通りになることを期待されるのだ。

だから、我々は総体的にピゼットを抱えているのです(ここは意味不明)。同じ理由で経済制裁からの保護もない。まあ、ナビウリナは過失を責められることは十分あり得るが(むしろ彼女のチームの誰かに責任転嫁)、上層部は何を責めるのか?こんな戦争が起こるなんて誰も知らなかっただから、こんな経済制裁の準備なんて誰もしてない。これは秘密保持の矛盾で、誰も教えてくれなかったのだから、誰も教えてくれなかったことを誰が計算できるのだろうか。

 

カディロフ[注:ラムザン・カディロフチェチェン軍閥。今回の作戦で、配下の部隊はゼレンスキー大統領暗殺の役割を担っていたと言われている]が怒り狂っている。ほとんど我々と紛争寸前までいった。おそらくウクライナ人たちも、作戦の最初の日にカディロフの特殊部隊のルートを漏らしたのは我々であるという偽の情報を投げかけたのでしょう。

彼らは行進中にひどい方法で襲われてしまった。彼らはまだ戦い始めていないうちに、いくつかの場所では文字通り引き裂かれていました。

 

そして、我々に責が行く。ウクライナ側に経路をリークしたのはロシア連邦保安庁である。私はそのような情報を持っていないが、私はその可能性を1-2%を残している(完全に排除することはできまない)。

結局、電撃戦は失敗した。今、任務を完了することは単に不可能なのだ。もし、ゼレンスキーとウクライナ当局が最初の1-3日で捕えられ、キエフのすべての重要な建造物を押収し、彼らに降伏命令を出したら-そう、抵抗は最小値まで沈静化しただろう。理論的にはね。しかし、その次は?この理想的な想定でも、解決できない問題があった。誰と交渉するのか?ゼレンスキーを取り除いたとして、さて、誰と協定を結べばいいのか。

もしゼレンスキーと協定を結んだのなら、その後で彼を取り除いたのなら、結局この協定には何の価値もない。HLE(ウクライナの親ロシア派野党)は我々との協力を拒否した。

メドベチュクは臆病者で、逃げてしまった。第二のリーダー、ボイコがいるが、彼は我々との協力を拒否している。上層部はツァレフをもどそうとした。だが、親ロシア派も彼に反発した。ヤヌコビッチを戻す?

しかし、どうやって?占領が不可能だと言うなら、我々が設立した政府関係者の誰もが我々が去って10分以内にそこで殺されるだろう。占領?

どこにそんな人員がいるんだ?司令部、憲兵隊、防諜、警備......現地の抵抗を最小限に抑えたとしても、50万人以上は必要だ。補給体制は別としてね。

そして、管理の質の低さを量でカバーすると、すべてを台無しにするだけという法則がある。

そしてこれは、繰り返すが、理想的な想定となった場合であり、それは存在しない。

ではどうすればいいのか?2つの理由から総動員を発表することはできない。

1)大規模な動員は、政治的、経済的、社会的な国内の状況を悪化させる。

2)現在、我々の兵站はすでに手一杯である。総動員したら何倍もの人員を駆り立てることになり、何が得られるか?

 

ウクライナは領土の点では大きな国である。その上今、我々に対する憎悪のレベルは天井知らずに上がっている。

 

このような物資の輸送に我々の補給が対応できず、すべてがストップしてしまう。そして、我々は単純にそれを遂行できない。なぜなら、全てカオスになるからだ。

その上、このうちの一つが生じるだけで全てを台無しにできるのに、二つが同時に生じるのだ。

 

損失。何人いるのかわからない。誰も知らない。最初の2日間はまだ統制が取れていたが、今は誰もそこで何が起こっているのかわからない。通信で大規模なユニットを失うこともある。発見されることもあれば、攻撃されて解散することもある。そしてそこでは、司令官でさえ、何人が近くのどこかを走り回っているのか、何人が死に、何人が捕虜になっているのかを知らないかもしれない。死者の数は間違いなく数千人だ。1万人かもしれないし、5千人かもしれない、あるいは2千人かもしれない、司令部でもはっきりしたことはわからない。しかし、1万人に近いはずだ。

それにこれにはドネツク・ルハンスクの部隊の損失を含めていない。彼らは自分たちの独自の集計方法を持っているから。

今、ゼレンスキーが殺されても、捕虜になっても、何も変わりない。

我々に対する憎悪という点では、チェチェンと同じレベルになっているからだ。そして今、我々に忠誠を誓った者たちでさえも、我々に背を向け始めた。

なぜなら、これは上層部が計画したことであり、我々が攻撃されない限り、そのような選択肢はないと聞かされていたからだ。

なぜなら、正しい条件で平和的に合意するためには、最も信頼できる脅威を作り出すことが必要だと説明されたからだ。

なぜなら当初、ウクライナ国内でゼレンスキーに対する抗議行動に対応するための準備しかしていなかったからだ。

我々が直接的に介入する可能性は取り除けられていた。

さらに今後、民間人の損失は指数関数的に増大する--そして、我々に対する抵抗も増大するばかりだ。侵入部隊はすでに歩兵で都市に入ろうとした。20の侵入グループのうち、条件付きの成功を収めたのは1つだけだ。モスルへの攻撃を思い出して欲しい。結局、これが原則で、どの国でもあっても、何も新しいことはないんだ。

包囲を続ける?ここ数十年の同じヨーロッパでの軍事紛争の経験によると(セルビアはここでの最大の実験場だ)、都市は何年も包囲下にあることができ、さらに機能する。ヨーロッパからの人道的輸送隊は時間の問題である。

6月までという条件付きで期限を決めている。条件付きというのは、6月には経済が何も残っていない、何も残っていないということなのだ。

大体、来週にはどちらかの側に転機が訪れるだろう。

このような過度な緊張状態を強いられる状況はどちらにとっても、ありえないからだ。

分析はない - なぜなら混乱を計算することは不可能であるから、ここに至っては誰も確かに何かを言うことはできない。みな直感的に、さらには感情で行動する - しかし、これは普通のポーカーではない。突然いくつかのオプションが発生することを期待して、掛け金が上昇する。問題は、我々も計算を誤り、一手ですべてを失う可能性が出てきたことだ。

大体、この国には出口がない。可能性のある勝利の選択肢がないだけで、敗北がすべて、これだけだ。

前世紀の初めに、弱い日本を蹴散らして手っ取り早く勝利を得ようと考えたら、軍隊が大変なことになっていた、ということを100%繰り返している。そして、最後まで戦争を続け、ボルシェビキを軍隊に「再教育」するために受け入れた。何しろ、彼らは大衆の誰にとっても興味のない、はみ出し者だったのだ。

そして、誰もよく知らないボルシェビキ反戦スローガンを掲げて、全てこんな風に始まったんだ.

まずは良い報告から:前線に「懲罰部隊」を大量に送り込むような案が少しでも通らないように、あらゆる手を尽くした。軍隊に囚人や「社会的に信頼できない」政治犯を送ると(国内の水に朱が交わらないよう)-軍隊の士気はただただマイナスになるばかりだ。そして、敵は士気に満ちている、ひどく士気に満ちている。彼らは戦い方を知っている、十分な中堅指揮官がいる。武器もある。支援もある。

 我々は、単に世界史上の人的損失の前例となるであろう。それでおしまいだ。

最も恐れていること:トップは、古い問題を新しい問題を覆い重ねて隠すという規則に従って行動することだ。

大きくはこのような理由で、2014年のドンバスが始まった。クリミアでのロシアの春の話題から欧米人の注意をそらす必要があったので、ドンバスの危機は、すべての注意を自分に引きつけて、交渉の対象とするためだったようだ。

しかし、さらに大きな問題があった。

エルドアンを4本のパイプ「サウスストリーム」に押し込むことを決め、シリアに介入したのだ。

ソレイマニが問題解決のために意図的に偽の情報を与えた後のことである。その結果、クリミアの問題は解決できず、ドンバスの問題もあり、「サウスストリーム」は2本に縮小し、シリアは別の頭痛の種をぶら下げた(我々がシリアを出ればアサドが排除され、我々は馬鹿を見るが、このまま居座り続けるのも難しいし、無意味だいうことだ)。

誰が「ウクライナ電撃作戦」を思いついたのか知らないが。もし、本当に初期情報を得ていれば、少なくとも当初の計画には賛否両論があること、多くの再確認が必要であることを示しだろう。いろいろとね。

今、我々は首から上の部分にまで糞で埋まっている。

そして、何をすべきか、明らかではない。「非ナチ化」や「非軍事化」は分析的なカテゴリーではない。なぜなら、任務の達成度や未達成度を判断するための明確なパラメーターが存在しないからだ。

あとは、どこかのクソ顧問が、制裁の軽減を要求するヨーロッパとの紛争を始めるよう、トップを説得するかどうかだ。

軽減か、戦争か。

もし彼らが拒否したら?1939年のヒトラーのように、本当の国際紛争に巻き込まれる可能性は否定できない。そして、我々のZは鉤十字と比較されることになる。

局地的な核攻撃の可能性はあるのか?はい、あります。軍事的な目的ではなく(全く意味がない。これは防衛の突破口となる武器だ)、他者を威嚇する目的で。同時に、すべてをウクライナに向ける土壌が整いつつある。ナリシキンと彼のSVRは今、そこで密かに核兵器を作ったことを証明するために、土地を掘り返している。

くそっ、彼らは今、我々が長い間研究し、解体してきたものを叩いているのだ。ここに膝をついて証拠を作り上げることはできないし、専門家やウランの存在(ウクライナには劣化した同位体238がたくさんある)は何の意味もないのである。生産サイクルがあるため、気づかないうちに行うことはできないのだ。「ダーティ」な爆弾さえも気づかれずに作ることはできない。しかし、彼らの古い原子力発電所では兵器級のプルトニウムを生産できる(REB-1000のような発電所では、反応の「副産物」として微量に生産する)ため、アメリカはIAEAの関与のもと、コントロールのため監視を導入したのです。

この話題を掘り続けるのはアホらしい。

我々は空腹の90年代を懐かしく思うくらいに、経済制裁が我々を覆いつくすでしょう。

金融取引が止まっている間、ナビウリナは通常のステップを踏んでいるように見えたが、それはすべてダムの穴を指でふさぐようなものだ。それでも突破され、さらに強くなる。3日後、5日後、10日後、何も決まらない。

カディロフが蹄を打つのには理由がある--そこには自分たちの安全がかかわるのだ。

彼は最も影響力があり、無敵であるというイメージを自分のために作り上げた。

そして、それが一度でも崩れれば、自らの民衆によって倒されることになる。彼はもはや、常勝者という称号の持ち主ではなくなるのだ。

さらに進めよう。シリアを。"奴らは持ちこたえるだろう、ウクライナで全てが終わる-そしてそこでシリアで我々は再び全てのポジションを強化する"

そして今、彼らはいつでも、部隊が資源を使い果たす瞬間をそこで待っている。

熱はいつでも発生することができる.トルコは海峡を封鎖している。飛行機でそこに物資を輸送するのは、お金でオーブンを加熱するようなものだ。

このすべてが同時に起こっていることに注目して欲しい。すべてを一つの山にまとめる時間さえないのだ。1943年~44年のドイツのような状況になっている。まだ始まったばかりなのに。過労で疲れ切り、すべてが夢であったかのように、思えてすべてが以前のように戻ると夢想することがあります。

ちなみに刑務所は、もっとひどいことになる。血が出るまでネジが締め付けられ始めるだろうから。どこでも。正直なところ、純粋に技術的に、これは状況を維持するための唯一の方法だ - 我々はすでに総動員のモードになっている。しかし、そんな体制で長くはいられないし、タイミングもあいまいで、当面は悪くなる一方だろう。動員から、指導部は必ず迷走する。そう、そして想像してみてください、全力で100メートル走れるのに、マラソンの距離まで行って思いっきりスピードを出すのはまずいですよね。ウクライナの問題で、まるで百メートルを走るように準備し、実際にはクロスカントリーのマラソンを走っていることに気づいたのだ。

今起こっていることをごくごく簡単に言ってみた。皮肉なことに、私はプーチンが全世界を破壊する赤いボタンを押すとは思っていないことを付け加えておく。まず、判断する人が一人以上いるので、少なくとも誰かがその判断から降りるだろう。

そして、そこには大勢の人が関わっている。「赤いボタンを持つ一人の男」は存在しないのだ。第二に、そこですべてがうまく機能しているかどうか、疑問がある。経験上、透明性と管理性が高ければ高いほど、欠点がわかりやすくなる。そして、誰がどのようにコントロールしているのかがはっきりしないのに、いつも威勢のいい報告がなされるところ-そこでは、すべてがいつも間違っているのです。赤いボタンのシステムが宣伝通り機能しているかどうかはわからない。さらに、プルトニウムの装荷は10年ごとに変えなければならない。

第三に、これは最も下劣で悲しいことですが、個人的には、連邦評議会のメンバーではなく、最も近い代表者や閣僚を自分に近づけさせない人の、自分を犠牲にする覚悟があるとは思えない。コロナウイルスや攻撃を恐れてなのか、それは問題ではない。最も信頼できる人を近づけるのが怖いのなら、どうやって自分や愛する人を全面的に滅ぼす勇気があるのだろうか。何かあれば - 尋ねてください、しかし、私は数日間答えることができません。急ぎモードで、タスクがどんどん増えています。

 

このGulagu.netのソースは、これまで悪態をついたことはなく、短く、ポイントを押さえて書いていました。しかし、今では彼も...”

 

次がロシアの将官の論考。元リンクはこちら。

russiandefpolicy.com

 

ロシアによるウクライナ戦争の行方について、Mikhail Khodarenok氏の記事が先週のNVOに掲載された。彼は知識が豊富で現実的な分析家だ。

 

彼の軍歴と参謀本部での勤務からしてロシアの愛国者である。しかし、彼は、クレムリンが聞きたくないが、聞く必要があることを言う人である。

 

Khodarenokは、ロシアが大幅に改良された軍隊を持ちながら、軍事行動に対して過信していることの危険性を指摘している。彼の記事は、米国が戦争を考えているときに多くの西側オブザーバーが書くものに似ている。しかし、ロシアでは、Khodarenokは孤独な声なのだ。

 

ウクライナとの戦争は、モスクワの傲慢さが示すように簡単なものではない、と彼は主張する。

 

プーチンが戦争に踏み切らないことを祈るばかりだ。しかし、もしそうなれば、プーチン自身にとっても、すべてが変わってしまう。彼は今、どのように変化するか想像もつかないだろう。

 

いずれにせよ、、Khodarenokのタイムリーな記事の翻訳を紹介する。

 

「血に飢えた識者たちの予言:歓喜する鷹と慌てるカッコウのように

最近、ロシアの専門家の間では、ウクライナの軍隊は哀れな状態なので、軍隊を投入する必要さえないだろう、という意見が十分に根付いている。

 

ロシアの強力な攻撃によって、監視・通信システム、大砲、戦車隊はほとんど破壊されるだろうと指摘する識者もいる。さらに、多くの専門家が、ロシアの一撃でもこのような戦争を終わらせるのに十分であると結論付けている。

 

さらに、ウクライナでは誰も「キエフ政権」を守ろうとしないという事実も、さまざまなアナリストが指摘している。

 

一筋縄ではいかない

まず、最後から始めよう。ウクライナでは誰も政権を守らないと断言するのは、隣国の軍事的・政治的状況や広範な大衆の気分について、実質的にまったく知識がないことを意味する。そして、隣国のモスクワに対する憎悪(よく知られているように、これは武力紛争の最も効果的な燃料である)の程度は、明らかに過小評価されているのである。ウクライナの誰も、パンや塩や花でロシア軍を迎え撃つことはないだろう。

 

2014年のウクライナ南東部の出来事は、誰にも何も教えていないようだ。それから、左岸のウクライナ全体が一挙に、秒速でノボロシア(新ロシア)になるとも考えているようだ。彼らはすでに地図を描き、将来の都市や地方行政のための人員配置を考え、州旗を作り上げている。

 

しかし、ウクライナのこの地域(ハリコフ、ザポロジェ、ドニエプロペトロフスクマリウポリなどの都市も含む)のロシア語を話す人々でさえ、同様の考えを圧倒的多数で支持していたわけではなかった。「ノボロシヤ」プロジェクトは、いつの間にか静かに萎み、静かに死んでいった。

 

一言で言えば、2022年に1939年の形と似通った解放十字軍をやっても、どうにもうまくいかないということだ1。この場合、ソ連文学の古典であるアルカディ・ゲイダルの言葉は、かつてないほど真実味を帯びている。"今は簡単な戦いはなく、困難な軍事キャンペーンになることは明らかだ"

 

「血をほとんど失わず、最大の一撃を」

さて、「ロシアの強力な攻撃」についてだが、「実質的にウクライナ空軍のすべての監視・通信システム、それに砲兵隊、戦車隊」が破壊されることを前提としている。

 

この表現一つをとっても、これは政治家しか、こんな言い方をしないことがわかる。参考までに、軍事作戦地域[TVD]規模の仮想的な軍事行動の過程では、優先目標への打撃と大量火器による攻撃が行われる。作戦戦略計画の過程では、「強力な」(「中程度の」、「弱い」なども)という形容詞は使われないことに注意。

 

軍事科学では、攻撃には戦略的なもの(これは戦略核戦力に関係する部分が多い)、作戦的なもの、戦術的なものがあることが強調されている。参加する軍隊と破壊される目標によって、攻撃は集団、グループ、個人のいずれにもなりうる。また、政治的な性格を持つ書類であっても、他の定義を導入したり使用したりしない方がよい。

 

優先目標への攻撃と大量集団砲撃は、戦線(ロシア西側国境の戦線はまだ形成されていない)または軍事作戦場の軍隊の主指揮部(南西部の戦略方向にもそのようなものはまだ確立されていない)の範囲内で行うことができる。これ以下の規模のものは、大量集団砲撃とは言えない。

 

そして、例えば、前線集団火力攻撃(MOU)とは何なのか。まず注目するのは、戦線の指揮官(作戦戦略上の大きな単位)が自由に使える最大数の戦闘準備部隊と航空、ミサイル部隊と砲兵、EWシステムの手段がMOUに組み込まれているかどうかだ。

MOUとは、航空機の1回の大量出撃、OTRミサイルおよびTRミサイルシステムの2-3回の発射、数回にわたる砲撃のことを言う。

これによって敵への火器破壊の程度が60〜70%であればよい。

ウクライナとの紛争に当てはめると、この問題の主旨どうなるのでしょうか。

 

言うまでもなく、MOUは敵の可能性が高い相手に大きな損失を与える。

 

しかし、たった1回の攻撃だけ行うことで、一つの国家全体の軍隊を粉砕するような攻撃を達成することを期待するということは、単純に戦闘作戦を計画し実施する過程で、抑制のきかない楽観主義が出現したことを意味する。

 

このような結果を達成するためにはMOUは、軍事作戦地域における仮想的な戦略的作戦の過程で、一度や二度ではなく、もっと頻繁に提供されなければならないのである。

 

ロシア連邦軍には、将来性のある高精度の兵器が、無制限に供給されているわけではないことを付け加えておく必要がある。

 

極超音速ミサイル "ツィルコン "はまだ兵器庫にない。また、「カリブル」(海上巡航ミサイル)、「キンザル」、Kh-101(空中発射巡航ミサイル)、「イスカンダル」用ミサイルの数量はせいぜい数百(「キンザル」の場合は数十)程度である。

 

この兵器庫は、人口4,000万人以上のフランス規模の国家を地球上から消し去るには全く不十分である。そして、ウクライナはまさにこのようなパラメータによって特徴づけられている。

 

制空権について

ロシアの専門家の間では、(特にドゥーエのドクトリン信奉者によって[注:イタリアの戦略爆撃理論家Giulio Douhet、1869-1930年])ウクライナでの仮定の戦闘作戦はロシアの完全な航空優勢下で行われるため、戦争は極めて短期間に終了すると主張されることがある。

 

しかし、1979年から1989年にかけての紛争で、アフガニスタンの反対派の武装組織は、一機の航空機も戦闘ヘリも持っていなかったことが、いつの間にか忘れ去られている。そして、この国の戦争は10年間も続いたのだ。チェチェン共和国の戦闘員は、飛行機を1機も持っていなかった。そして、彼らとの戦いは数年続き、連邦軍に多大な血と犠牲をもたらした。

 

そして、ウクライナ国軍には戦闘航空がある。防空装置ももっている。

 

実際、2008 年の紛争では、ウクライナの地対空ミサイル部隊(グルジア軍の一部として)がロシア空軍を大量に撃ち落とした。

戦闘開始後、ロシア軍の指導部は明らかにその損害にショックを受けていた。そして、このことを忘れてはならない。

 

前もって、喪に服す

さて、"ウクライナの軍隊は哀れな状態である "というテーゼについてだ。当然、ウクライナ軍は航空や近代的な防空システムという点では問題がある。しかし、次のことを認識しなければならない。

ウクライナ軍が2014年までソ連軍の断片を代表していたとすれば、この7年間で、まったく異なるイデオロギーの基盤の上に、大部分がNATOの基準で、質的に異なる軍隊がウクライナに作られた。そして、非常に近代的な武器や装備が、北大西洋同盟の多くの国からウクライナにもたらされ、今ももたらされ続けている。

ウクライナ軍の弱点である航空戦力について。西側諸国は、キエフの軍隊に自分たちが持っているもの、簡単に言えば中古の戦闘機を、十分に短期間で供給することができると言われているので、それを排除することはできない。しかし、それらの中古品は、ロシアの在庫の大半の航空機に完全に匹敵するものだろう。

もちろん、今日、ウクライナ軍は、戦闘と運用の可能性において、ロシア連邦軍に大きく遅れをとっている。このことは、東側でも西側でも、誰も疑っていない。

 

しかし、この軍隊を軽んじてはいけない。この点で、アレクサンドル・スヴォーロフの訓示を常に思い出すことが必要である。"敵を軽んじるな、自分より愚かで弱い存在と思うな "だ。

 

さて、西側諸国はウクライナのために一人の兵士も死なせないという主張について。

そうなる可能性が高いということを、私たちは知っておかなければならない。

しかし、ロシアが侵攻した場合、西側諸国がウクライナ軍に対して、最も多様な種類の武器や軍備、あらゆる種類の物資を大量に提供する大規模な支援を行う可能性を排除することはできない。

この点で、西側諸国はすでに前例のない強固な立場を示しているが、モスクワでは予想外だったようだ。

アメリカや北大西洋同盟諸国から、第二次世界大戦のときと同じように、生まれ変わったレンドリースが始まることを疑ってはいけない。西側諸国からのボランティアで戦闘員が参加すること、それも非常に多くなる可能性は排除できない。

 

パルチザンと地下抵抗者たち

そして最後に、長引くと予想される軍事作戦について。ロシアの専門家の間では、数時間、時には数十分で終わると言われている。その一方で、なぜか彼らは、我々がすでにこのようなことを経験していることを忘れている。2 時間でパラシュート連隊 1 つで都市を制圧する」というフレーズは、すでにこのジャンルの古典となっている[注:1994年にロシア軍がチェチェンの首都グロズヌイを簡単に占領できると元国防相Pavel Grachevが主張したことに言及。実際には、正月の不用意な攻撃で壊滅的な被害を受けた]

 

また、スターリンの強力なNKVDと数百万人のソ連軍が、西ウクライナ民族主義者の地下組織と10年以上も格闘してきたことも忘れてはならない。そして今、ウクライナ全土がパルチザンになる可能性があるのだ。さらに、これらの組織は簡単にロシアの領土で活動を開始することができる。

 

ウクライナの大都市における武力闘争は、一般に予測に適さない。武力紛争の弱者や装備が整っていない側にとって、大都市は最高の戦場であることは一般に知られている。

 

本当の専門家は、大都市では、数千、数万の戦闘員の集団を集中させるだけでなく、敵の優れた火力から守ることも可能であると指摘している。そしてまた、長期間にわたって物資を供給し、人や装備の損失を補充することもできる。山、森、ジャングルは、今日、そのような可能性を持っていない。

 

専門家は、都市環境は防衛側を助け、攻撃側の動きを鈍らせ、1平方メートルあたり最も多くの戦闘機を配置でき、戦力と技術の差を補うことができると確信している。しかし、ウクライナには、人口100万人の都市を含め、十分すぎるほどの大都市がある。したがって、ロシア軍は、ウクライナとの予想される戦争の過程で、一つのスターリングラードや一つのグロズヌイの経験をはるかに上回る戦いに直面することになる。

 

結論

一般的に言って、ウクライナでは電撃戦はありえないだろう。「ロシア軍は 30~40 分で ウクライナ軍のサブユニット11 の大部分を破壊する」「ロシアは本格的な戦争になれば 10 分でウクライナを破壊できる」「ロシアは 8 分でウクライナを破壊する」といった一部の専門家の発言は、まともな根拠がないものである。

そして最後に、最も重要なこと。今のウクライナとの武力衝突は、根本的にロシアの国益を満たさない。したがって、一部の興奮したロシアの専門家は、帽子を投げるような空想は忘れた方がいい。そして、これ以上のダメージを防ぐためにも、二度と彼らを呼ばないことである。」