新たなロシア連邦庁(FSB)内通者からと言われる、メール(真偽と、内容をどの位信じられるのかは留保付き)

昨日に新たに投稿されたと思われる、フランスに亡命中のロシアの人権・反体制活動家Vlademir Osechkin氏が管理するサイト、Gulagu-netに新たに届いたロシアの連邦保安庁FSB)の内通者のメールを翻訳して紹介する。

真偽を明らかにできない、素人の自分が翻訳するのもどうかと思ったのと、内容がかなり憂鬱なのでこれもちょっと躊躇したが、あまりにロシア語(ついでにウクライナ語や他の東欧語!)を自動翻訳設定でドイツ語に翻訳したときの、快適な読書体験があるので、自分の勉強のためにわずか2時間で翻訳した。

それと、最近の情報と対応して見ると、全く無視できない内容もある。メールの合間に自分のコメントや感想を斜字でしめした。

リンクは以下: 

https://gulagu-net.ru/news/2022-04-18-1272.html

2022年4月18日の(FSB内通者からの)メール。

 

レター 18.04.2022

日付:2022年4月18日(月) 2_:__ にて

テーマ:情報

宛先。Gulag-no オフィシャルチャンネル <gulagunett@gmail.com>

ウラジミール、こんにちは。

最初に断っておくが、私は100%正確な予測をすることを約束するつもりはない。というのも、状況が目まぐるしく変化し、ついていくのが難しいからだ。さらに、計画と実行の間にギャップがあることも多い。このことは、住宅用建物の直接的な爆破が(まだ)行われておらず、「ウクライナ」のヘリコプター/DRGによる一部の荒れ地と非住宅用建物への砲撃に限られていることを説明している。

メールの内容をテーマごとに分けてみる(というか、メールの中にいくつものテーマをとにかく列挙してみる)

この住宅用建物の爆破が行われていないというのは、以前のメールで実はロシア国内でロシアの軍事侵攻のシンボルであるZとかVなどの文字に対する抗議・揶揄する落書きが増えていることへの言及だ。それへの対応として、そのような住民がすんでいると思われるアパートに偽のテロ行為を演出してそれを口実に弾圧する計画がある、と伝えていたことがあるのその事への言及と思われる。

 

1.移民による脅しと意外な裏表の関係。以前にも書いたが、欧米諸国との長期戦では、大きな勝負所が移民による脅迫である(明日の大規模攻撃で、移民の流れはさらに70~150万人増える可能性がある)。ウクライナ穀物輸出を絶ち、カリ肥料の輸出を拒否することで、ロシアは飢餓による混乱を発生させ、発展途上国からの大量移住のシナリオを動かしているのだ。脅迫の理論的な可能性は、発展途上国への穀物の増産-移民の流入を減らす、である。 もちろん、西側からの互恵的な譲歩を引き出すための交渉として用いる可能性もある。しかし、すでに欧米の抵抗に遭っている。ウクライナとの戦争では、事実上すべての発展途上国が中立の立場をとっている。現在の地政学的な環境では、これはロシアのおかげだ。しかし、飢餓を弄ぶようなゲーム(そしてウクライナの燃料備蓄と穀物輸出物流の補給輸送拠点は、現在、私たちによって非常に組織的かつ正確に破壊されている)は、私たちが脅迫を可能にするよりもずっと早い時点で、逆に途上国を敵に回す可能性があるのだ。そして、欧米は今、この働きかけを積極的に行っているのだ。

2.ベルゴロド地方。現状では、政治的な解決策と軍事的な解決策がある。軍事的な観点からも、ウクライナがベルゴロド地方を大幅に前進させて「突発的」な攻勢に出ることは許されない。しかし、政治的な観点からは、これは十分にあり得ることなのだ。現在、ドンバス方面の軍事戦闘で大敗した場合(これも仮定の話だが)、ウクライナ軍にベルゴロド地方への「進入路」を与えるというオプションを社内で推し進めようとしているところだ。 コリドー(廊下)は、ある地域を全面的に明け渡すような形になり、それが可能になるのだ。

- ロシア領で戦争が起こる危険性を絵で示す。

- それがもたらす問題を顧みない総動員を行える。

- ウクライナ軍が占領した地域全体に「テロリストの先例」を作ること(一部地域だけを渡すこととなっている)

これは、外部の人間にとっては「ブチャ問題」から目をそらすことになり、同時に国内の人間にとっては、経済の問題から目をそらすことになる。重要なのは彼らが侵入することだ、爆発物とか他の工作物は豊富に用意されるだろう、そのために本庁の軍事部門が動員されるだろう。クリミアでは政治的な理由で、このようなことは不可能だ。軍部はそのようなアプローチには原則的に反対だが、軍部に関しては別に論じる。それに彼らは、ある意味では現在敗者の立場にある。

気になるのは、このベルゴロド地方でのウクライナ軍の攻撃、「テロ活動」とロシアが称するものがすでに生じていることだ。ロシアが発表した、ウクライナ軍によるロシア内地での攻撃(しかし、ウクライナ軍や米国が確認していない活動)がいくつも確認されていることだ。

他にも色々報告されている、似たようなある不思議なロシアによるウクライナの戦火報告があるが、偽旗作戦なのだろう。

3.軍部。軍部の腐敗問題は、戦争が終わるまでもはや意味を持たない(宮殿や住居が公開れている国防次官を逮捕しないことが合意された)。だからといって、みんなが何もかも忘れてしまったわけではない。捜査は慎重に進められ、逮捕のための資料も集められ、誰も逃れられないが、古い問題には当分手をつけない。それは戦争の後の話だ。

今の時点では、いわゆる「当てにならない」人たち、特にリーダー層との連携する方がより重要だ。現在、安定に対する最大の脅威は軍隊であり(これは私の個人的な評価ではなく、本庁と国の指導者の評価を述べている)、その脅威の規模は、彼らが言うように、広がりと深さの両方で拡大している。信用できない人が増え、先鋭化の度合いが増している。軍隊の防諜活動だけでは十分ではない。軍隊は閉じたシステムではなく、その人脈(と一定の政治的重み)は社会の非常に深いところにまで及んでいる。同時に、軍隊は定義上、組織構造も人材も、必要な基盤も持っている。今のところ、彼らの状況は反乱を起こす可能性とは程遠いものだが、予想される「軍事的な事態」が発生した場合、非常に重大な問題が発生する可能性がある。彼らに対する最終的な判断がどうなるかはわからないが、直接的な監禁による「隔離」も、あるいは色々な問題を理由に軍から追放するという可能性も、どちらとも高い。私は、軍の指導者たちのかなりが、素敵な口実のもとに投獄される可能性があることを、今、熱心に準備しているところだということは確証を持って言える。軍事作戦の終了命令が下される前に(理由は問わない)、「信頼できない軍の指導部」は、時には血まみれの地肌にさらされて、時には白骨になるまで洗わなければならない。

4.ウクライナ、南部戦線。指導者の立場からすると、ミコライフはある意味、マリウポルと同じくらい厄介な存在になりつつある。今のところ、そこに明確な解決策は見えず、軍事的な圧力をかけるには法外なコストがかかる。ミコライフは軍が進軍する前に陥落するという予想が、3日間でキエフを攻略する計算のリストに入っていたのである。でも、オデッサがある。軍事的な観点からも、オデッサの状況は我々にとって非常に悲しいものだ。今では少なくとも、以前の上陸を阻んだ嵐は、オデッサを救ったのではなく、我々の海兵隊を救ったのだと言える。ウクライナ人の軍事的防諜(NATOも協力している-これは事実)は、我々にとって特に問題である。というより、重要人物の排除を独自に計画していた軍部の問題である。しかし、そこには直接的な軍事的解決策はほとんどない。トランスニストリアへの突破作戦の可能性が明らかに失敗することは、最も絶望的な人にとっても明らかである。しかし、オデッサは、軍事を除くすべての面で混沌としているのが頼りだ。実は、オデッサSBUの防諜サービスは、ウクライナの地域サービスの中で最も弱いのだ。また、オデッサ地域の経済行政は、休息の原則に従って行われている、つまり、全く行われていない。最大の打撃はオデッサになるだろう。保護リストに載っていないが、同時に強制送還されると社会的・政治的混乱を引き起こす可能性がある人々のリストが作成される。目的は、有力な「ロシアの敵」を排除することではなく、地域空間を完全に混乱させ、状況を揺さぶり、万人の万人に対する対立のメカニズムを作動させることにあるのだ。我々の仲間はすでにオデッサを調査した。軍事目標に対する妨害工作はほとんど不可能だが、それ以外はほとんど無警戒だ。密輸と税関でなければ、地元のSBUは無能である。

5.カディロフ 潜伏し、陰謀を作り続ける。私たちも、さまざまな側面から彼にアプローチするようになり、彼もそれを理解している。最終的に誰が、誰を、どのようにするのかは、まだ難しい問題だ。

6.行方不明者。この問題は、戦後になってから本格的に展開されることになるが、その規模は正気の沙汰とは思えない。現在、行方不明者が現在の潜在的戦死者の主なカテゴリーとなっている。しかし、その数は変動が激しく、実情は不明だ。現代の戦争は、重火器のために遺体を発見することが物理的に不可能な場合もあるほどだ。実際に撤退できずに多くの人が死亡し、ある者は捕虜となり、ある者は逃亡し、またある者は連絡が取れなくなり、まだ戻ってくるかもしれない。この点では、どの機関も同じようなイメージを持っている。ウクライナ側とは、捕虜のリストを作成するために非常に活発な作業が行われている。しかし、大多数の行方不明者については誰も何も知らない。このデータは秘密であり、今では厳重に守られた国家機密のように隠されているのだ。行方不明者は稀にしか戦死者として扱われないが、ここで悪意を探す必要はない。生きて発見される可能性がある場合、軍官僚は問題を抱えることになる。最も皮肉な例を挙げよう。戦死者の親族はその補償をされるが、当人が、例えば重傷を負い、どこかに監禁されているのが見つかるなどして戻ってくるとする。その場合、親族に受け取った補償金を払い戻し、書類を書き直せと言えるのか。これは皮肉なことだが、官僚制にとっては解決不可能なことでもある。ということは、戦後もずっとずっと、行方不明者リストに載っている人がいることになる。そして、何千何万という人々が行方不明になっている。

7.全般的に。ナビウリナは、私が以前書いたことをすでに確認している。五月の終わりで「古き良き時代」は終わり、新しい経済体制へと移行する。その経済体制は存在したことがなく、まだ発見されたこともなく、それを作り上げようと思ったら想像もできないコストを我々は払わなければならない。輸入品の倉庫は、そのころには戦前に蓄積されたものがすべて空になっているはずだ。当局が戦略的備蓄品の開放というリスクを負うかどうかは不明である。耐乏すればまだ6か月は持つかもしれないらしい。これは90年代前半の生活基準だ。そしてもはやそんな未来を見通そうとするのは意味がない。以前は、何年も先を見通して予測をしてきた。今では、1か月先の予測ができれば成功と言えるだろう。

 

このFSBの内通者のメール自体に真正性があったとしても、この人物がどのくらいの職種、職位にいて、内部情報をどれくらい把握して見渡せるのかがわからないので、どこまでが事実あるいは本人の経験に基づいているのか、どこからが仮定、類推(あるいは妄想)なのかわからないので、その程度の物として扱って読んだ方がいいのかもしれない。

また論旨は一貫して、FSBの職員としての立場からの偏りがみられるので、ロシアの軍部や政府関係者とは全く視点が異なるのだろう(それだけに一種の迫真性もある)。

ただ、このメールが事実とすると相当ロシア当局内も混乱していて、さまざまな摩擦・争い・権力争いがあることはうかがえる。これが、現在、ロシアに敵対しているNATO諸国・西側以上に混乱しているのかどうかが、ロシア側と西側の対決を分ける決め手となるのだろう。